フリック入力特許を調べてみた
iPhoneで使われているソフトウェアキーボードの入力方法、フリック入力を、自作ソフトでも使えないかということで、特許について調べてみました。
フリック入力というのは、「あ」の部分をタッチすると、四方に他の文字が出てきて、指をスライドさせるとその文字を入力できるという物です。
[を] iPhone の日本語入力方式(フリック入力)の特許について
iPhoneのフリック入力に関して特許のこと – 知らぬい
Appleはもちろん申請したようですが、どうやら却下されたようです。
知らぬいさんのページに詳しく書かれていますが、既存技術として過去に登録されていたというのが理由のようにも思えます。
とりあえず、特許登録されている特許3314276、マルチファンクションキーボードに付いて特許庁のサイトで検索してみました。
ここでは、「ハードウェア構成」が登録されているため、ソフトウェアキーボードのフリック入力は特許の対象外のようです。
なお、ハードウェア構成、ソフトウェア構成で別々の特許になることについての見解ですが。
iPhone/iPadでは、スリープ解除の方法が特許登録されています。
この操作は、レバーによる解除をタッチパネルとソフトウェアで構築しただけのものです。
なお、オランダで特許取り消しの仮処分が2011年8月にあったようです。
http://www.techvisor.jp/blog/archives/1908
レバー操作が登録されるということは、先の特許に付いてもソフトウェア構成で新たに登録されてもおかしくないはずです。
では、なぜペンタッチ入力(特願平07-071509)、Hanabi(特願平10-285333)が登録されないのでしょうか。
JW-CadというCADソフトがあります。
このソフトで使われているコンテクストメニューはWindowsやMacのメニューとは大きく異なり、円形をしています。
この円形メニューはクロックメニューと呼び、バージョン情報を見ると、1999年時点で名称が出てきます。
http://www.jwcad.net/versioninfo.htm
この選択方法に非常に良く似ていることがわかります。
情報交換室(2) thread11771
Jw_cad で特許申請をしたという話は余り聞かないですし、
ドキュメントにも記載されていませんので大丈夫だと思いますが~
情報交換室(3) thread7962
クロックメニューは、DOS版のドラッグ操作を更に強化したものであって、JWWの専売特許ではありません。
クロックメニューに特許はなさそうです。
JWWの専売特許ではないということで、さらにこの円形メニューを調べてみると。
リング状のコンテキストメニューRingMenu、API公開 | スラッシュドット・ジャパン デベロッパー
このAPI(ライブラリ)はすでに公開終了していますが、RingMenuという名称で出ているようですし、
この返信に、「Maya」「piemenu」「piewm」「聖剣伝説」ハイパージャンプという言葉が出てきています。
Autodesk SketchBook (wikipedia)スクリーンショットの左下に、この円形メニューがあることを確認できます。
さらに調べてみると、こんなのもありました。
リング状ランチャー
何のことはない、特許無効なのは、すでにたくさんのソフトウェアで使われていたからのようです。
さて、この円形メニューが特許登録されいないか、検索してみます。
特開2011-257938
コンピュータシステム、メニュー実行方法及びプログラム
、、、ありました。
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願番号】特願2010-131235(P2010-131235)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
公開、先月かよ!
荷重を加えられることにより先端が凹むポインティング・デバイスと、
前記ポインティング・デバイスが接触した位置の座標と前記ポインティング・デバイスに加えられた荷重とを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記荷重と座標とに基づいて、前記複数の機能のうちいずれかの機能を実行させる制御手段と、
を具備し、
とはいえ、上記のように書かれているため、スタイラスペンが必要なようです。
つまり、マウス、素手や、先端がへこまないiPhone/iPad用ペンなら大丈夫ってことでしょうか。
むしろ、マウスや素手では既存技術として一般化しているため、あえて条件をつけたようにも見えます。
特開2011-170401
ポインティングデバイス等を用いた入力選択装置及び当該入力選択装置を構築するためのコンピュータープログラム
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願番号】特願2010-30874(P2010-30874)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【要約】 (修正有)
【課題】ポインティングデバイスやタッチパネルを用いて、少ない操作で選択が可能であり、かつ多数の入力選択項目を設定することが可能な入力選択装置の提供。
【解決手段】大項目入力選択画像1011中の1つの選択項目で選択操作を行ったときに、そのポインティング位置(基準位置)を中心とする円形領域内に小項目入力選択画像1012をポップアップ表示する。オペレータがポインタ102を小項目入力選択画像中の1つの選択項目まで移動し、ポインティングデバイスの操作を解除したとき、基準位置から当該移動最終位置までの距離及び/又は方向に基づき、選択された小項目を確定する。
なかなかポイントを突いていますが、
上下に並んだ大メニューの項目を選ぶと、小カテゴリーとして円形メニューが出ることが条件になっています。
ここまでの調べた内容だけでの判断ですが、iPhone/iPad/iPod、圧力センサー(?)付きスタイラスペン(Wacomタブレットなどは圧力ではないため対象外)を使用しない入力デバイスで直接円形メニューを出す分には、(多くのソフトウェア、とくにフリーウェアで既に実装しているということもあり)問題なさそうです。
懸念事項。
「ないことの証明」ができないことです。
上記2件は似て非なる物として問題なさそうですが、検索に失敗し見つからなかっただけの場合。
円形メニューそのものが登録されており、既存ソフトウェアは黙認されている場合です。
この場合、次に出したソフトが黙認される保証はありません。
また、円形メニューの大カテゴリー+円形メニューの小カテゴリーや、項目数が足らずに扇形メニューのようなアレンジを行った場合、それが特許になっていないか、ということも懸念事項としてあげておきます。
特にタッチパネルでは、2段階メニューは指に隠れて下の方が見づらいですから。。。
追記編集
ちょっと誤解していました。
上記2件は「査定無し」となっていました。
つまり、特許として認められていないが却下もされていない、「審査中」ということのようです。
個人的に使いたいのは円形二段階メニューなので、リスト型+円形メニューが審査中というのは、却下されることを望みます。。。
追記編集
その後
フリック入力特許-その後の調査cialis super active online>